火星は地球に見られるような全惑星規模の強い地磁気を持っていない。このことは薄い大気と相まって火星表面に到達する電離放射線の量を増やすことになる。マーズ・オデッセイは、搭載された火星放射線環境測定機器 (MARIE) によって人間への危険がどの程度かを測定した。その結果、火星周回軌道上は国際宇宙ステーションと比べて放射線のレベルが2.5倍も高く、平均で22mrad/日(220?Gy/日、または0.8Gy/年)であることがわかった。3年間このレベルの放射線に晒された場合、現在NASAが採用している安全基準の限界付近まで到達する。ただし、火星表面では大気による吸収によって放射線レベルは多少低くなるだろうし、高度やその地方に固有な磁場によって、大きな地域差が生じている可能性もある。地表に設置される住居や作業場は火星の土を使って保護することができ、屋内で過ごしている間は被曝を大きく減らすことができる。
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太陽フレアに伴って起こる荷電粒子の放出現象 (SPE) は大量の放射線を発生させる。火星の宇宙飛行士は、より太陽に近い軌道にあるセンサーによってSPEの警告を受け、火星に放射線が到達する前にシェルターに避難すればよい。だが、SPEには指向性があるらしく、火星軌道上のMARIEによって観測されたが地球では検出されないものもあった。つまり、太陽から見て地球と火星が違う方向にあるときにSPEが起きて火星の方向へ粒子が放出された場合は地球ではこれを探知できず、火星は何の前触れも無く放射線に襲われることになる。したがって、火星を脅かす全てのSPEを確実に探知するには、太陽の周囲を取り巻くSPE観測機のネットワークを構築する必要がある。